どんな人材も同じ視点で採用・育成・評価し報酬に反映できるような、受け皿が必要だと思っているんです。
株式会社ラックス 代表取締役 山田哲矢さま
工事部門責任者 猪岡 満治さま/営業部門責任者 守岡 聡さま/総務部門責任者 兼田 裕さま
人事評価制度
株式会社ラックスは、防水・屋根改修や外壁改修を中心に、ビル・マンション・工場を美しく再生する、建築の改修を専門とする福山の企業です。ラックスの山田さまと言えば、地元ではファンが多く、若手信奉者も多い有名社長。若かりし頃の少々やんちゃなリーダー経験をもつ社長に、その過去の秘密(!?)や、そこからつながるこれからの企業成長への想いを、そして管理職の皆様にはそんな社長とのつながりや、部下育成にかける想いをお聞きしました。
- ―社長は学生時代とてもユニークなリーダー経験をお持ちですよね。何人くらいをまとめ上げていたのですか?
- 山田さま:一度も数えたことありませんが多い時で二、三百人ぐらいはいたかと(苦笑)。
- ―その頃から正真正銘のリーダーだったわけですね。どんなチームだったか、伺ってもよいですか?
- 山田さま:同級生の仲間達とチームを組んでいて、「上ともつるまない、下ともつるまない」というのをモットーにしていたんです。地元の先輩などしがらみのないチームにしたかったんですよね。そういう権威を笠に着ない、圧力に屈しないというこのモットーは仲間との絆を強くしたような気がします。でもチームとしては短命だったんですよ、同級生ばかりで後輩がいませんでしたから。
- ―その人数を統率するために、何か工夫をされていたのでしょうか。
- 山田さま:意識して工夫をしたわけではなかったですが、今思えば目標をもって行動してましたね。とは言え、その頃の目標と言えば「今日はあそこへ行く」とか、「今月中にあそこを攻める」とか、そんな感じでしたけれど(笑)。それでも目標があると、楽しいし一丸となってまとまりやすいんですよね。
- 猪岡さま:その頃のことは、我々は社長から直接聞いたことがないんですが、お客様から聞くんですよね(笑)。現在会社で、その頃の片鱗を感じることは全くないんですよ。
- ―こうしたご経験と起業とには、つながりがありますか。
- 山田さま:起業したいという思いは若いころからありました。起業のきっかけになったのは、起業のための資金を稼ぎたくて面接を受けに行った先の、面接官の発言でした。その面接は「日給15,000円」の仕事の募集だったのですが、どうしてもたくさん稼ぎたい私は、仕事の経験もないのに「17,000円欲しい」と無謀な交渉をして粘っていました。そんな最中、面接室に入ってきた社員の方が、私の顔を見るなり「お前、山田だろう?弟が世話になったね」と言い始め・・・若いころのやんちゃがバレてしまいました(笑)。でもその時の面接官はそれで私を不採用にするのではなく、「ならば君の仲間で今仕事についていない者を数人集めなさい。その人数分×15,000円を君に払うから、それをどう分配するかは君が決めればいい。1,000円ずつでも手数料をとれば、君は17,000円以上稼げることになるだろう?」と。それでが起業の契機になりました。
- ―その面接官との出会いは、その後を大きく左右するものだったのですね。
- 山田さま:そうですね、その後30年近く経営をすることになりましたからね。その頃にあった企業も様変わりしていますし、長く続けるというのも、なかなか難しいものだと実感します。
- ―その後社長はMBAホルダーになられますね。MBAはリーダーシップのための学びという側面もあると思いますので、社長の歩みはまさにリーダーシップを高めるプロセスのようにも見えます。
- 山田さま:MBAの取得は、経営に必要なものを体系的に網羅的に学べたという点が自分にとっては大きかったですね。それまでは経営をしていても迷いが多かったと思います。よいと聞いた方法をあれこれ試してもうまくいかないと感じたり、決断がブレたり・・・こうした状況にとてもストレスを感じていたのですが、大学院で学ぶことで取捨選択の条件が明確になり、判断がしやすくなりました。そこでわかったんですよ、ストレスを感じる状況というのは「わからなくて不安だ」ということなんですよね。体系的に学べたことで、不安が軽減されるんです。
- ―学ぶ中で意思決定に迷いがなくなっていったのですね。MBAでの学びと、今回人事評価制度をご依頼いただいたこととは関係が深いでしょうか。
- 山田さま:ええ、ヒューマンリソースマネジメント(以下HRM)の重要性を学んだことも大きいですね。それ以前に、いつまでも鉛筆なめなめ自分ひとりで評価するという状況から脱して、早く部下に権限委譲しなければという思いもありました。そのためにISOの整備を進めシステムとしては整ったんですが、報酬に反映できないのが難点でした。
さらに、組織を大きくしたり拠点を増やしたりするなら、同じ視点で評価でき、同じ基準で報酬が決定されなければならないですよね。組織拡大には採用を強化する必要もあります。自分たちのレベルを上げて行こうと思うと、よい人材を採用できなければならないですが、そのためにはどんな人材も同じ視点で採用・育成・評価し報酬に反映できるような、受け皿が必要だと思っているんです。次のリーダーを育てて顧客満足度を上げていく必要もありますしね。
これらをしくみ、システムでやれるようにという思いから、人事評価制度の導入を決めました。
- ―経営戦略、組織成長、人材育成、採用方針・・・多くのことを視野に入れての人事評価制度だったわけですね。
- ラックスさんでは、評価制度の大事なポイントが社員の皆様に伝わるのも早く、評価制度の導入がとてもスムーズでした。普段から社長のメッセージがしっかりと皆さまに伝わっているのですね。
- 猪岡さま:そうですね。社長からのメッセージは結構しっかりと皆に伝わっていると思います。普段声をかけていただく内容で社長が気にしているポイントも理解しますし、会議や研修も結構しっかりやる会社なので、みんな結構鍛えられています。
- ―人事評価制度を実際に導入されて、いかがでしたか。
- 猪岡さま:複数視点で目標を立てさせ、トータルに評価できる点がとてもよいと思っています。目標管理シートを使って面談を重ねることが、会社の期待を伝えたり、本人の希望を理解したりする「想いの共有」にとても効果的だと感じています。評価制度が、社員とのよいコミュニケーションツールになるのだなと思っています。
- 守岡さま:それまでは真意がわかりにくかった社員も、目標設定のための面談をしてみて実際にどう思っているかがよくわかったという経験をしました。この経験は大きかったなと思います。面談の機会が、本音にしっかり寄り添うための有効な場になると感じています。
兼田さま:とは言え本格導入はこれからなので、まだわからないところが多いです。面談での会話のしかたなど、まだまだ手探り状態です。
- ―部下の育成について、気を付けていらっしゃるところはどんなところですか。
- 猪岡さま:各人にどうなりたいかという「想い」を持ってもらえるよう、働きかけるようにしています。目標設定のための面談をしていて、社員の側にも「共感して、共有して、協働してほしい」という思いがあるということがわかって、それをこちらがどう把握して寄り添うかという点をこれからもっと考えていきたいと思っています。
- ―コミュニケーションツールとして、本当に理想的な使い方をしてくださっているのですね。社長、ラックスさんの今後の構想などお聞かせください。
- 山田さま:これからの事業展開や人口減少の現状を考えると、「人材と技術」が大きなポイントだと思います。人材についてははやり「採用」が力を入れるべき点で、そのために多様な人材を活用できる組織作りができていること、各人のスキルがあげられるような体制ができていることも重要です。
- 採用はある意味営業活動と近しいと思っていて、ブランディングの要素も大きいですね。HRMのしくみが整っていることは、そんなブランディングの効果もあると思います。一方で、少ない人材をカバーする策として、AIやIoTをはじめとする最新技術の採用も積極的に行わねばと考えています。でなければ今後、少ない人材で大きな事業を展開できない、拠点を増やせないと思います。
- 他にも、地域の社会貢献活動にも力を入れていて、四半期に一度開催する「備後福祉異業研究会」、産官民学連携の「瀬戸内ドローン推進協議会」といった活動もやっています。社会貢献という視点だけでなく、事業にはSDGs(持続可能な開発目標)という視点も大事だと思っていて、こうした社会貢献活動はSDGsの一端に含まれるだろうと考えているんです。
- ―その構想の中であかつきに期待していただけるとこはありますか。
- 山田さま:やっぱり人材の教育ですね。それから、評価される側のスキルだけでなく、評価する側のスキルの向上もやっぱり大事で、そのあたりのサポートをお願いできると嬉しいですね。
―今日はありがとうございました。