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COLUMN

クラウド人事労務システム導入で失敗する企業の共通点5選

なぜクラウド導入で失敗する企業が多いのか

ここ数年で、人事労務業務にクラウドシステムを導入する企業は急増しています。
freee人事労務マネーフォワードクラウドSmartHRなど、多くのサービスが登場し、便利で効率的なオペレーションが実現できるようになりました。
しかし、その一方で、

「せっかくクラウドを入れたのに、結局Excelと紙に逆戻りした」

「使いこなせていない機能が多すぎて、現場は混乱するばかり」

「導入コストはかかったのに、業務効率はまったく変わらない」

といった“クラウド導入失敗”の声も後を絶ちません。

なぜ、これほど多くの企業がクラウド導入でつまずいてしまうのでしょうか。
その原因は、システムそのものよりも「導入プロセス」「運用体制」にあります。

失敗する企業の共通点5選

ここからは、私たちが実際に50〜300人規模の企業をサポートしてきた中で見えてきた、クラウド導入に失敗する企業の典型的なパターンを紹介します。

共通点①:「システム先行」で業務設計をしていない

クラウドシステムを導入する際、多くの企業が陥るのが「機能に惹かれて導入を決めてしまう」ことです。
たとえば、

SmartHRを入れたら人事業務が自動化できるはず」

freeeを使えば給与計算の工数が半分になるだろう」

といった期待を先行させるケースです。
しかし、現状の業務フローを棚卸しせずに導入すると、

社内ルールにシステム運用が重なり業務フローが複雑化

既存システムとの連携がうまくいかない

結局、二重管理が発生して効率が悪化

という落とし穴にはまります。
クラウドシステムを導入すれば効率化されるという幻想は、すぐに捨てる必要があります。

共通点②:「使う人」の教育が足りない

クラウド導入の目的は 「人が変わっても業務が滞らない仕組みを作ること」です。
しかし実際には、担当者が使いこなせず、システムが形骸化するケースが多いです。
よくある失敗は以下の通りです。

初期設定後、社員へのレクチャーがほとんどない

マニュアルを配布しただけで、実地研修が行われていない

管理者すら操作を理解しておらず、担当者が退職すると業務が停止する

クラウドシステムは単なる「ツール」にすぎません。
使う人が使いこなせなければ、単なる負の遺産となり導入効果は出ません。
使う人が使いこなせる仕組みを同時に導入し、本来の価値を発揮させましょう。

共通点③:導入目的が曖昧

システム導入時によくあるのが、「DXっぽいから」「流行っているから」「他社が導入しているから」という理由だけで導入するパターンです。
この場合、明確な目的やKPIが設定されていないため、効果測定ができません。
例えば、次のような目標を最初に決めておくことが重要です。

給与計算にかかる工数を30%削減

入退社手続きのリードタイムを半減

社員データ管理をクラウドで一元化し、検索時間を1/3に

こうした 「数字で測れる効果目標」を設定しないと「便利になったのかどうか分からない」という事態に陥ります。

共通点④:社内ルールとシステム設定がチグハグ

クラウドシステムの多くは高機能ですが、「自社ルールに合わせた初期設定」をしなければ、本来の効果を発揮できません。
よくあるケースは、

休暇管理のルールがシステムの仕様に合わない

手当の支払いルールが特殊で、結局Excelで手計算している

労働時間管理がクラウド勤怠とExcelで二重管理になっている

この状態では、クラウド化どころか、手間が倍増する結果になりかねません。
単にシステムを導入するだけでなく、人事労務の制度やルールも同時に見直す必要があります。
脱Excelで、管理部門の管理業務を無くしましょう。

共通点⑤:専門家を巻き込んでいない

クラウド導入は「システムを入れるだけ」では成功しません。
特に人事労務業務は法令改正が頻繁にあるため、社労士や専門家の伴走支援があるかどうかが重要です。
例えば、私たちの法人で支援した企業では、

freee導入サポート+業務設計をセットで実施

毎月のシステム更新内容を事前にキャッチアップ

実務に即した設定変更や運用改善を継続的にサポート

このように、「システム」×「専門家」のタッグで進めると失敗リスクは大幅に低下します。
導入したら終わりではありません。
運用こそが、生産性を高める秘訣です。

成功企業がやっている3つの工夫

ここまで失敗事例を紹介しましたが、逆にクラウド導入に成功している企業には共通するポイントがあります。

工夫①:導入前に業務を棚卸しする

現状業務をすべて洗い出し、手作業・二重管理・例外処理を可視化

クラウド導入後の業務フローを事前に設計

「システムに業務を合わせる」より「業務をシステムに合わせる」発想

工夫②:小さく始めて、大きく育てる

いきなり全機能を使おうとしない

最初は入退社手続きや給与計算など影響範囲が限定的な業務から

成功体験を積み重ねてから他機能に拡張

工夫③:伴走型の専門家を活用する

システム設定・法令対応・業務改善を一体でサポート

トラブル発生時の対応も迅速

「システムベンダー」+「社労士法人」の二段構えで安心

導入事例にみる、クラウド人事労務システムの導入成功事例

実際の導入事例として、以下のものが参考になります。

▼【CASE STUDY01】
クラウド化で作業時間が大幅に短縮。精神的な負担も減りました。

▼【CASE STUDY02】
スタートアップならではの課題を理解しつつ、労基法に則った支援に魅力を感じています。

▼【CASE STUDY03】
業務のマニュアル化で一人労務の不安を軽減。レスポンスの速さにも安心感。

クラウドを取り入れるだけでなく、労務担当者の負荷を大きく減らしつつ、社員の納得感も向上し、結果として生産性向上に結びついています。

まとめ:システム選びより“運用設計”が成功のカギ

クラウド導入はゴールではなくスタート

成否を分けるのは「システム」よりも「人と体制」

失敗パターンを知り、成功企業の工夫を取り入れることで、「速い・安心・便利」な人事労務DXが実現できる

お客様に合ったシステム選定や制度導入を支援します

あかつき社会保険労務士法人では、お客様の業種や企業規模・ご希望に沿ったシステム選定や制度導入を支援しています。

「システム導入が初めてで選び方が分からない」「システム会社への問い合わせだと、都合の良いことしか教えてくれない」「どのシステムが自社に最適かわからない」といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

残念ながら、どんな業界でも、どんな働き方にも対応できるシステムはまだ登場していません。
勤怠システムや給与計算システム、労務管理システムのそれぞれの長所を組み合わせながら、システムが対応できない場合には、時には自社の制度やルールも変える必要があります。
そんなときには、是非クラウドシステムの運用に強みをもった社労士にご相談ください。

まずはオンラインでヒアリングを実施します。お問い合わせフォームより、ご連絡をお待ちしております。

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