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“あかつき”は東の空が
白み始めるころ。
まだ決して明けていない夜が緩み、
朝の穏やかさが漂い始める
時間のこと。
私たちは、お客様にとって、
そんな“夜明けの兆し”のような
存在でありたい、
そう思っています。

幼少期や社会人の経験から、女性の
キャリアに疑問を持つように

私は3人兄弟の末っ子です。母親は専業主婦で、いつも家にいるのが当たり前の存在でした。自宅で内職をし、子どもたちが学校から帰ってくるのを笑顔で迎えてくれていました。しかし、実は兄を出産するタイミングで、当時は珍しかった女性管理職を辞めていたことを後で知りました。また、私が小学生の時には、父が自身の勤めていた会社を引き継ぐ形で自営業者になり、両親がともに苦労する姿を見て育ちました。女性のキャリアは、環境に振り回されるのだと子どもながらに思ったものです。

やがて大人になり、私は地方の大手造船メーカーに入社しました。コンプライアンスを重視し、福利厚生も充実している大きな会社です。同期の女性たちは大変優秀で、お互い切磋琢磨しながらやりがいのある仕事に取り組みました。しかし、その優秀な女性社員が、産休後に職場に復帰すると、最前線から外れ、雑務を担当し、輝きを失っていく姿を目の当たりにしました。短時間勤務や定時退社せざるを得ない状況に、「すみません」と言う言葉に後ろめたさを感じる様子も見受けられました。

男女雇用機会均等法が整備されて何年も経っていましたが、社会は母親の時代と変わっていませんでした。それならば、自分が「理想の会社」をつくるしかないと、起業を決意したのです。

いざ開業してみると、理想と現実の
ギャップに気付かされた

「母のように、出産しても退職せず、働き続けることができる制度を設けたい」
「同僚のように、短時間勤務や残業できないことに後ろめたさを感じず、仕事ができる環境を整備したい」
このような理想的な社会を実現することが自分の役割だと思い、仕事に邁進し、会社を成長させました。テレワーク制度やフレックスタイム制度、クラウドシステムを導入し、働く環境の整備にも努めました。

ところがある日、創業期から支えてくれた社員から「退職したい」と告げられました。子育て中の女性で、ご主人が忙しい方なので、ほぼワンオペで育児をこなしていることは知っていたのですが、仕事ができるあまり頼りすぎてしまい、負荷がかかりすぎていたのです。また、どこに行っても通用するような実力を身に付けてほしいと、レベルの高い要求をしたり、夜中にチャットでメッセージを送ったりもしていました。

これをきっかけに、離職するスタッフが続出。社員の先頭を走るリーダーでいたつもりが、振り返れば、誰も付いてきていなかったのです。

テレワーク制度やフレックスタイム制度、クラウドシステムの導入など、働きやすい環境を作るためならと、積極的に制度やツールを導入してきたつもりでした。導入しさえすれば、社員は業務と生活の調和を図り、効率的に働けると信じていました。しかしそれは、いつしか会社にとって都合のよいツールになっていることに気づかされたのです。「テレワーク制度があるから、どこでも働けるよね」「フレックスタイム制度があるから、時間を気にせず働けるよね」と、働く人に無理を強いていました。

私は、経営者目線で社内体制を整備していましたが、それは働く人が本当に望む現実的な労働環境とはかけ離れたものでした。その結果、せっかく導入した制度が機能せず、旧来型のマンパワーに頼る仕事のやり方になっていたのです。

志高く起業したはずなのに、現実は日々の仕事をこなすことで精いっぱい。良かれと思ってやってきたことも独りよがりだったと気づき、頭をバットで殴られたような衝撃を受けました。

自社に本当に必要なものを選ぶことの大切さ

女性社員の退職は、私の幼少期や社会人となった頃の体験を思い出させてくれました。そして、テレワーク制度やフレックスタイム制度、クラウドシステムといった制度やツールは、それ自体ももちろんすばらしいですが、どれをチョイスして、どう運用するかが大切であることに気付かせてくれたのです。

そこで、社内の仕事のやり方を抜本的に見直すことにしました。まず、業務をタスクごとに分けて可視化し、チーム制を導入。今までは一人で行っていた作業を複数人で行い分業制にすることで、それぞれの負担を軽減し、同時に担当者ごとの専門性が高まりました。また、不要なツールやシステムは排除し、必要なものだけを残したことで、残業がなくなるほど業務の効率化が進みました。

チーム制は、スタッフが休みを取得しやすい環境にもつながりました。業務内容や進捗を全員で共有することで、誰が休んでも、お客様も同僚も困らない体制を構築することに成功したのです。

あかつきが“やるべきこと”  と“やらないこと”

業務体制の見直しは、社労士法人として自分たちならではの価値を見出すきっかけにもなりました。お客様に対しても、不要なものをそぎ落とし、シンプルだけど使い勝手がいい、そんな価値提供を目指すようになったのです。

この価値を最大限に生かすために、“やるべきこと”  と“やらないこと”を明確にしています。

あかつきが“やるべきこと”と考えているのは、システムを使った業務効率化によってきめ細やかなサービスを行うことです。具体的には、未払賃金や社会保険などの加入漏れチェックなど、労務担当者の負担を軽減するサービスの実施です。また、オンライン対応やペーパーレス化はもちろん、各社に合った最適なクラウドシステムの導入支援や助成金の申請も行います。「自分が社労士に委託するなら、これは欲しいだろう」と思うことは、全部やるのがあかつきのスタンスです。レスポンスの速さもこだわっているポイントです。

一方、質の高いサービスをすべてのお客様に提供するために、“やらないこと” もあります。例えば、定期訪問や、訪問して押印してもらうなど、アナログな対応は基本的にお受けしていません。また、既存のお客様へのサービス品質維持と継続的な成長支援を重視しているため、スポット(単発)でのサービス依頼も対応していません。

コロナ禍には、お客様からこんなお言葉をいただきました。「社労士は近くで探すものだと思っていたけれど、『全国から、自分たちの価値観に合う社労士を探したほうがいい』と思うようになった」と。あかつきを必要とするお客様が全国にいることを知ることができたのです。業界でいち早くクラウドシステムを導入していたため、テレワークへスムーズに移行できた実績が買われ、オンラインでの労務管理サポートやクラウドシステムの導入、テレワーク時の勤怠管理などの相談が毎日のように寄せられました。

スマート労務®の誕生

このような経験を経て、必要なものを必要なだけ導入し、不要なものをそぎ落として、シンプルだけど使い勝手が良いサービス「スマート労務®」が誕生しました。

「スマート労務®」は、業務効率を高めるクラウドシステムの導入から運用までをサポートし、労務の専門知識を備えた社労士がオンラインで相談に応じるアウトソーシングサービスのパッケージです。

例えるならスーツのセミオーダー。既製の生地やデザインのパターンをベースに、サイズを測って好みのファッションやぴったりのサイズに仕立てていく作業に似ています。すべてをカスタマイズするフルオーダーではありませんが、足りない部分を専門家が補うことで、より最適なものに近づけられる上、安価にできるというメリットがあります。

伝統ある企業では、かつては最適だった制度や手当が、今では負の遺産となっているケースも多く見受けられます。それらを整理したり、現代の解釈に変えたりしながら、事業経営をサポートするのが私たちの仕事です。

企業にとって本当に必要なものを提案し、労務管理をシンプルにする、それこそが、私たちが“やるべきこと”と考えています。