COLUMN
給与振込業務でクラウド給与計算システムを利用している方へ。実は、「FBデータ」を活用していないと、無駄な手間やコストを抱えているかもしれません。この記事では、FBデータの概要からその活用メリット、導入準備までをわかりやすく解説します。
FBデータ(ファームバンキングデータ)とは、企業が銀行との間で電子的にやり取りするための振込依頼ファイルです。全国銀行協会の「全銀フォーマット」を基準とした標準的なデータ形式を使用しており、給与振込や経費精算など多用途で活用可能です。
【関連用語】
EB(Electronic Banking):電子バンキング(FBやIBを含む広義の用語)
IB(Internet Banking):インターネットバンキング(インターネット通信に限定した用語)
① 業務効率化
給与計算後、法人インターネットバンキング(IBやWebバンキング)にFBデータを取り込むだけで振込依頼が完了します。これにより、従来の手入力や書面での振込依頼と比べ、圧倒的な時間削減が実現します。
② 期日余裕の拡大
銀行によっては、振込依頼書の提出が必要な場合、振込予定日の3営業日前までに手続きが必要です。しかし、FBデータを使えば、2営業日前や場合によっては当日でもデータのアップロードが可能です。
③ 手間と心理的負担の軽減
FBデータには正確な給与データが反映されるため、金額の再入力が不要です。これにより、入力ミスを防ぎ、チェック作業のストレスも軽減されます。
④ 振込手数料の削減
法人インターネットバンキングを活用することで、振込手数料が安く設定されている場合があります。また、振込手数料は固定価格ではなく、企業によって減額される場合もあります。銀行との交渉次第でさらなるコスト削減も可能です。
FBデータを活用するには銀行の法人インターネットバンキングの契約が必要になります。銀行によっては、法人インターネットバンキングの契約に3,000円から5,000円程度の月額費用が発生する場合がありますが、振込手数料と同様に交渉次第で無料となる場合もあります。
インターネット専業銀行の場合には無料で活用できる場合がほとんどです。
① 法人インターネットバンキングの契約
取引銀行やインターネット専業銀行で契約を進めましょう。契約時にFBデータを活用する旨を伝えるとスムーズです。
② 給与計算システムのFBデータ出力設定
マネーフォワードクラウド給与やfreee人事労務などのクラウド給与計算システムには、FBデータ出力機能が備わっています。必要な情報(例:振込依頼人コード)を登録しましょう。なお、10桁の数字の振込依頼人コードは、開設銀行に問い合わせをすれば教えてもらえます。また、インターネット専業銀行の場合には、振込依頼人コードが無かったり、銀行支店番号と口座番号の組み合わせと予め決まっている場合もありますので、この場合も口座開設銀行に確認してみましょう。
③ 試験的なデータ取り込み
最初はエラーが出る場合もあるため、設定を調整しながら実際にデータを取り込むテストを行いましょう。データの取込だけでは振込されることはありませんので、テストFBデータを作成して、実際の振込期日前にテストしておきましょう。
システムの導入だけでは不十分です。業務フローをクラウドシステムに合わせて再設計したり、専門家(社労士)に相談することも検討してください。クラウドシステムの活用に慣れている専門家であれば、制度設計次第でクリック一つで給与計算を完了させることも可能です。
クラウドシステムの特性を理解する。
自社業務に合った運用体制を構築する。
必要に応じて業務アウトソーシングを活用する。
FBデータを活用することで、給与振込業務の効率化、コスト削減、精神的負担の軽減が実現します。クラウドシステムと組み合わせて導入することで、さらに生産性の高い業務体制を構築できるでしょう。