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COLUMN

年末調整や給与計算は社労士と税理士のどちらに依頼する?

人事労務や経理をサポートする専門家として、社労士や税理士を思い浮かべる方は多いでしょう。
しかし、年末調整や給与計算を社労士や税理士に依頼する場合、どんな違いがあるかまで把握している方は少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、年末調整や給与計算は社労士と税理士のどちらに依頼するべきか、選び方とともに解説します。

年末調整について

最初に結論を述べると、年末調整は税理士に依頼する必要があります。
その根拠としては、日本税理士会連合会と全国社会保険労務士会連合会の協議により、下記の結論に達したことが挙げられます。

年末調整において税務判断を必要とする事務は税理士業務であることが改めて確認されたことから、その結果を双方の会員へ周知する。

出典:全国社会保険労務士会連合会「日本税理士会連合会との「年末調整に係る計算事務に関する考え方について」の協議について」

社労士は税理士業務を行うことができないため、年末調整は税理士に依頼することで、自社で行う手続きの負担を最小限に抑えることができます。

年末調整で社労士ができること

年末調整は税理士に依頼する必要がありますが、源泉徴収票や法定調書の作成・提出などの税理士業務でなければ、社労士が担当できる部分もあります。

社労士が年末調整に必要な社会保険や労働保険に関わる書類をチェックすることや、給与計算を行うこと、正確な社会保険料を算出するための算定基礎や随時改定を行うことは問題ありません。むしろこれらは、社労士の専門分野になります。

また、社労士の中にはマネーフォワードやfreeeなどのクラウドシステムを活用して自社で年末調整を行う方法を提案できる社労士や、年末調整の受託が可能な税理士を紹介してくれる社労士もいるので一度お問い合わせしてみるのもいいでしょう。

給与計算について

給与計算は、年末調整とは異なり特定の資格を必要としません。そのため、社労士と税理士のどちらに依頼することも可能です。

それぞれに依頼した場合のメリット・デメリットを確認してみましょう。

依頼先メリットデメリット依頼時期と会社規模
税理士・給与計算と年末調整の一元管理ができる
・社労士との新規契約よりコストを抑えられる可能性がある
・労務の専門家ではない・会社設立間もない時
・10人未満
社労士・最低賃金違反や未払賃金を防げる
・正しい社会保険料の算出ができる
・税務の専門家ではない・従業員数の増加時
・10〜300人
アウトソーシング会社
(社労士・税理士法人を除く)
・人数が増えれば増えるほど社労士や税理士よりコストを抑えられる・労務や税務の専門家ではない・300人超

税理士

〇税理士のメリット

税理士に給与計算を依頼した場合、給与計算と年末調整をまとめて管理できるため、社内の業務負担が軽減されます。

また、小規模な会社であれば、新たに社労士を探して給与計算を依頼する場合よりも、既存の顧問税理士に給与計算を依頼した方がコストを抑えられる可能性があります。

〇税理士のデメリット

税理士に給与計算を依頼しても、税理士は労働法や社会保険の専門家ではないため、最低賃金の適用や社会保険料の正確な算出といった、法令遵守に関する対応が不十分となるリスクがあります。

最低賃金違反や未払賃金を防ぐという観点では、税務ではなく、労務の専門家への依頼が適しています。

〇税理士への依頼

会社設立後間もなく従業員10人未満であれば、税理士に給与計算を依頼するのがおすすめです。

会社設立後は、様々な届出や申告を税理士に依頼することで、会計や税務の基盤をスムーズに整えられます。給与計算も税務上のルールを守って行う必要があるため、初期段階でまとめてサポートを受けるといいでしょう。

社労士

〇社労士のメリット

社労士に給与計算を依頼した場合、労働法を遵守した給与計算を行うことができます。
たとえば、時間外労働や深夜労働、休日労働などの時間集計において、労働時間制と照らし合わせて適切に処理されているかを確認し、最低賃金違反や未払賃金のリスクを未然に防ぐことができます。また、算定基礎や随時改定に基づき、社会保険料を正確に算出できます。

もし、未払賃金の発生や社会保険料が間違って計算されていれば、正しい年末調整が行われたとしても基の数値が誤っていることにより所得税の計算が誤ってしまうことになります。このようなリスクを防ぐことができるのも社労士のメリットです。

〇社労士のデメリット

社労士に給与計算を依頼しても、年末調整における源泉徴収票や法定調書の作成・提出など税理士業務となる部分は対応できません。

そのため、年末調整は税理士に依頼するといったように複数の外部パートナーと連携する体制を事前に検討しておくことが大切です。

〇社労士への依頼

従業員10人以上、もしくは一人労務で対応できなくなったときは、社労士に給与計算を依頼するのがおすすめです。

常時10人以上の従業員を雇う場合は、労働基準法により就業規則の作成と届出が必要になります。
有償での就業規則の作成や変更は社労士(及び弁護士)にしかできない業務のため、この時に社労士に併せて確認してもらうこととして、正しく給与計算が行えているか、未払賃金などの経営リスクを抑えるためにも相談してみましょう。
また、既に労務担当者が給与計算を行っているものの急激な従業員の増加によりマンパワーが足りないときや、属人化によるリスクを抑えたい場合も、社労士に給与計算を依頼しましょう。

ただし、従業員が300人を超えると、事務所の規模によっては社労士や税理士で対応できなくなる可能性もあります。その場合、給与計算をアウトソーシング会社に依頼することも検討してみましょう。
アウトソーシング会社は、大規模な給与計算に対応できるシステムと体制を整えているため、人数が増えれば増えるほどコストメリットが出る可能性があります。

まとめ

年末調整において税務判断を必要とする事務は、税理士に依頼する必要があります。
一方、給与計算は、社労士・税理士のいずれにも依頼可能であり、それぞれに得意分野と注意点があります。

給与計算の依頼は、労務リスクの予防や社会保険料の正確な算出を重視する場合は社労士、税務業務との連携効率を重視する場合は税理士が適しています。
また、従業員数や業務体制によっても最適な依頼先は変わります。設立間もない企業であれば税理士、組織拡大期の企業であれば社労士への依頼が現実的です。

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次のお悩みに1つでもチェックが入りましたら、お気軽にご相談ください。
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