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COLUMN

freee人事労務とマネーフォワードクラウド給与を徹底比較|社労士がオススメするクラウド給与システムの選び方

はじめに|給与業務のクラウド化、どこから始めればいい?

「紙の給与明細から脱却したい」「年末調整のたびにバタバタするのをなんとかしたい」
多くの人事労務担当者が、日々の煩雑な業務を少しでも楽にしたいと感じているのではないでしょうか。

そんな中、注目を集めているのがクラウド給与システムの導入です。
この記事では、クラウド給与システムの2大サービス「freee人事労務」と「マネーフォワードクラウド給与」について、実際に業務として両社のクラウド給与システムを使う現役の社会保険労務士の視点から機能性・使いやすさ・使った実感をふまえてわかりやすく解説します。

あかつき社会保険労務士法人は、freee認定アドバイザーMoneyForwardクラウド公認メンバーです。
どちらの強みもしっているからこそ、実際の労務担当者目線で解説できます。

「これこれ、こういう情報を探していたんだよ」と思っていただけるよう、実務目線で丁寧に比較していきます。

クラウド給与システムとは?|基本とメリットを簡単におさらい

クラウド給与システムは、インターネット経由で利用できる給与計算システムです。
従来のExcel管理やオンプレ型システムと異なり、法改正の自動反映、電子申請、テレワーク対応など、現代の働き方にマッチした運用が可能です。

主なメリットは以下の通り

自動計算によるヒューマンエラーの削減

法改正にも自動対応

電子申請で手続きの手間を軽減

年末調整やマイナンバー管理も一元化

クラウド上でどこでもアクセス可能(テレワーク対応)

実際に導入することで、給与業務だけでなく、人事・労務全体の業務効率化と精度向上につながります。

freee人事労務とマネーフォワードクラウド給与の基本情報

まずは、それぞれのサービスの概要を簡単に確認しておきましょう。

freee人事労務(freee株式会社)

  • 会計・勤怠・経費など「統合型クラウドERP」の一部として位置づけられた人事労務システム
  • スタートアップや中小企業からの支持が厚く、初心者でも使いやすい設計が魅力
  • 特にfreee会計との連携に強みを持ち、仕訳処理までスムーズ

マネーフォワードクラウド給与(株式会社マネーフォワード)

  • 給与計算を中心に、勤怠・経費・会計と広く連携できるクラウド型バックオフィスツール群
  • 中堅企業〜上場企業まで幅広く対応し、計算式の柔軟なカスタマイズが可能
  • 外部システムとの連携も比較的多く、フレキシブルにシステムの選定が可能

【機能比較】freee人事労務 vs マネーフォワード給与|何ができて、どう違う?

機能カテゴリ

freee人事労務
(スタンダード:2024/7/1~)

マネーフォワードクラウド給与
(ビジネス:2025/6/1~)

基本料金

4,000円/月(年払)
又は 5,200円/月

6,480円/月(年払)
又は 7,980円/月

従量課金(6名以降1名毎)800円/月300円/月(給与のみ)

給与計算

操作性

◎ 初心者でも簡単に運用可

◎ 柔軟な設定と詳細な計算式に対応

固定時間制

◎ 簡単操作で設定可

◎ 設定不要(勤怠で設定)

変形労働時間制

◎ 簡単操作で設定可

◎ 設定不要(勤怠で設定)

固定残業手当

◎ 時間/金額両方を指定可

○ 時間を指定可

複数時給

○ 曜日/時間帯別設定可

▲ 時給2を設定可

カスタム計算

▲ 1種類の紐づけのみ可

◎ オリジナルのカスタム計算式を作成可

WEB明細

◎ ボタン一つのワンタッチ

◎ ボタン一つのワンタッチ

会計連携

◎ ボタン一つで、人事労務側から連携

◎ ボタン一つで会計側から連携

年末調整

追加Plan

マネーフォワードクラウド年末調整

従量課金(6名以降1名毎)

100円/月

操作性

◎ わかりやすいUI

▲ わかり難いUI

勤怠管理

追加Plan

マネーフォワードクラウド勤怠

従量課金(6名以降1名毎)

300円/月

打刻機能

○ 4種

○ 6種

打刻集計

▲ 簡単な集計のみ可

▲ UIがわかり難い

マイナンバー

追加Plan

マネーフォワードクラウドマイナンバー

従量課金(6名以降1名毎)

100円/月

電子申請

追加Plan

マネーフォワードクラウド社会保険

従量課金(6名以降1名毎)

100円/月

手続種類

▲ 19種

○ 26種

それぞれに強みはあるものの、freee「業務初心者でも扱いやすい直感的設計」マネーフォワード「複雑な給与体系に柔軟に対応できる拡張性」が魅力です。

【操作実感】freee人事労務とマネーフォワード給与(シリーズ)、使いやすさの違い

給与システムは、「スペック」だけでなく、「使ってみたときの肌感」が意外と重要です。

freee人事労務の“感覚的な使いやすさ”

  • UIが優れてスマホのように直感的に使える
  • 必要な機能がそろっている統合型ERPシステム
  • ITに慣れていない現場スタッフにも好評

マネーフォワードクラウド給与の“実務の安心感”

  • 複雑な支給・控除項目が細かく設定できる
  • 必要に応じて追加できる多彩なクラウドサービス
  • オンプレ型からの移行でもわかりやすい操作性

担当者のレベル感や組織規模によって、向き・不向きが変わるのがリアルなところです。

【ここが良い】freee人事労務とマネーフォワード給与(シリーズ)

社労士が実際に使っておすすめする、freee人事労務とマネーフォワードクラウド給与の一押しポイント。

freee人事労務のここが良い

  • 月毎のデータベースが保管され、過去の社保等級や人事情報が遡って確認できる
  • 使いやすくわかりやすいシンプルな年末調整(一押しポイント!)
  • ERP型で一体感のある使い勝手

マネーフォワードクラウド給与(シリーズ)のここが良い

  • カスタマイズ計算式で様々な手当の支給方法に対応できる
  • 必要な機能だけ追加して使えるマネーフォワードクラウドシリーズ群
  • 多くの他社勤怠システムや電子申請システムとAPI連携できる拡張性(一押しポイント!)

【惜しい】freee人事労務とマネーフォワード給与(シリーズ)、ここがいまいちポイント

パッケージシステムだけに機能に不足もあります。
足りない機能は、使い方を工夫するしかありません。

freee人事労務のここがあと一歩

  • カスタム計算機能が弱いので複雑な手当はCSVインポートが必要
  • 勤怠管理と電子申請は、最低限の機能しか備わって無いが料金は含まれている
  • 外部連携機能が弱く、外部電子申請システムと社保等級などが連携されない

マネーフォワードクラウド給与(シリーズ)のここがあと一歩

  • 人事DBが月毎に保持されておらず、過去データは遡って確認できない
  • 勤怠管理やマイナンバーなど、それぞれが独立したシステムで同じマネーフォワードクラウドシリーズのメリットを感じにくい
  • 年末調整のUIが悪く、わかり難い

社労士が教える「クラウド給与システムの選び方」

「うちにはどっちが合ってるの?」という質問は、これまで何度も受けてきました。
そのたびにお伝えしているのが、以下の3つの観点です。

給与体系や手当ルールの複雑さ
→ シンプルな体系ならfreee、複雑ならマネフォが安心

使っている会計・勤怠システムとの相性
→ すでにfreee会計やマネフォ会計を使っていれば、そのまま連携できる製品がベスト

担当者のITスキル・社内体制
→ 慣れやすさを重視するならfreee、細かな設計を大切にするならマネーフォワード

加えて、トライアル期間や操作デモを活用して、実際に“使い心地”を体験することもおすすめです。

社労士が教える「システム料金節約の工夫」

それぞれのシステムに特徴があるので、特徴を活かしつつ不足する機能を補完するとシステム料金の節約になります。

freee人事労務の“ダウングレード”

勤怠管理機能が付いた「スタンダード」も勤怠管理機能は弱いので、あえて「スターター」にダウングレード。不足の機能は、freee勤怠管理PlusやAPI連携可能なKING OF TIMEを使う方法がおすすめです。

マネーフォワードクラウド給与(シリーズ)の分割購入

すべての機能を使おうとすると、結局高くなってしまうマネーフォワードクラウド給与(シリーズ)。シリーズのうち、給与と年末調整、社会保険がセットになった特別プランを社労士経由で導入する方法がおすすめです。

まとめ|給与システムの選定が「労務の安心感」を生む

クラウド給与システムの導入は、単にツールを入れ替えることではありません。
それは、「労務業務をどう進めていくか」という、組織の働き方の再設計そのものです。

私たち社会保険労務士の仕事は、「システムを導入すること」ではなく、
“不安なく、正確に、安心して働ける職場”をつくるための仕組みを提案することです。

「どのシステムを選べばいいか分からない」「うちの体制でも使いこなせるのか不安」と感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。

あなたの会社にとって、最適な選択を一緒に考えさせていただきます。

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