COLUMN
freee人事労務を自力で導入した企業様からご相談を受けることが増えてきたように思います。freee人事労務の奥深さについて、考察してみたいと思います。
このシステムが世に出たときに、「なんて面白いシステム!すごく新しい」と感動したものです。スモールビジネス向けの新しいコンセプト、専門的な知識や経験がない経営者でも直感的に使える、独自のわかりやすいUI。会計や労務管理のそれまでの「当たり前」を、様々な点で書き換えた、画期的なものでした。そのため、新しいことに挑戦するスタートアップ企業などに人気が高いという印象があります。
freeeは税理士さんからの信頼も厚いですね。クラウドシステムに強い税理士さんがfreee会計の導入をお勧めするケースも多く、そのタイミングで一緒にfreee人事労務を導入される企業さんも多いだろうと思われます。
これはあくまで、あかつき社会保険労務士法人*にご相談が寄せられるケースの共通項でしかないのですが、こんな傾向があるように思います。
それは、「今勢いがあり、成長著しい」ということ。
イノベーションを進め、市場からも注目されていたり特徴的なサービスをもっている企業様が、スタートアップからfreeeを使っていたけれど、ここにきて運用が追い付かなくなっている、という感じでしょうか。これはつまり、人数規模の変化による「バックオフィスの転換点」にある企業様ということです。
こうした労務管理の在り方の変革をするタイミングでのご相談なので、特別に「freeeだから問題が起きた」というわけではないでしょう。これまで少人数で処理できていた労務管理が、その人数では手に負えなくなっているだけかもしれませんし、規模の変化に伴い人の出入りも激しくなりますので、急にバックオフィスがバタバタし始めた感じがするのかもしれません。ただこの変革のタイミングで、「freeeの先進性」が場合によってはネックになってしまうことも、あるかもしれません。
わかりやすくシンプルにするために創られた機能が、企業規模拡大に伴い複雑化していく給与体系や勤怠管理に対応できず、無理な運用を強いる可能性はあるでしょう。独自のUIや他にはない仕様を持つが故に、他の企業で行っているような作業手順がそのまま適用ができない可能性もあるでしょう。ただ、freeeが規模の大きな企業には向かないわけではありません。freeeは大規模企業様への導入実績もたくさんあります。きっと、企業規模が大きくなるプロセスの中には、「freee的な発想とは方向性が異なる改革を、推し進める瞬間がある」ということかもしれません。
企業は成長するにつれ、抱える課題が変わっていきます。バックオフィスでの労務管理も変われば、人材育成の在り方も変わります。人事労務システムはその都度入れ替える必要はないかもしれませんが(桁が変わるほど人数規模が増えたわけでなければ・・・)、使いたい機能や追求したい利便性は変わってきます。そこに合わせて業務フローは変えなければなりません。特にfreeeをお使いの場合、「freeeを使い続けることに意味・意義がある」という企業様も多いでしょうから、freeeの使い方を工夫しながらバックオフィス業務をバージョンアップさせていく必要があります。これはシステムの問題のようでいてシステムの問題ではなく、企業成長に伴う組織改革や業務設計のお話だ、ということですね。
10人、20人、30人、50人、100人・・・企業成長にはそれぞれに節目があり、組織運営を大きく変えねばならない瞬間が訪れます。そんなタイミングにシステムをきっかけとして経営の要に携わらせていただくことに、喜びを感じます。
*業務内容によっては関連会社で対応させていただきます。