COLUMN
社労士は、労務管理や社会保険手続きなどを行う労務の専門家です。しかし、社労士ごとに得意分野や対応スタイルが異なるため、自社に合った社労士を選ぶことは簡単ではありません。
そこで本記事では、社労士の選び方をテーマに、「オンライン重視型」と「対面重視型」の社労士の違いや、選び方のポイント、依頼の手順などについて解説します。
自社に適した社労士を見極めたい方や、新しく顧問契約を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
社労士は、下記の項目を踏まえて選ぶことが大切です。
社労士は、対応範囲が多岐にわたるため、どのような経験と専門知識があるのかは必ず確認しましょう。
・労務相談
・労働社会保険の手続き
・就業規則の作成・変更・労務監査
・助成金の申請
・給与計算 など
社労士の経験と専門知識は、企業が得られる利益やリスク低減効果に直結します。
長年にわたり多様な企業をサポートしてきた社労士は、さまざまなケースに対応するノウハウを持っています。
たとえば、製造業では労務管理や安全衛生管理が重要です。この分野に経験が豊富な社労士は、労働基準法の遵守はもちろんのこと、労働災害防止のための具体的な対策も提案できます。
また、IT業界の経験が豊富な社労士であれば、在宅勤務やフレックスタイム制度の導入の効果や労働時間の管理方法のポイントなどについての知識も豊富です。
中小企業の経営層300人を対象にした調査レポートによると、顧問社労士の乗り換えを検討している人物が不満に感じている点で最も多かったのが「自社のビジネスへの知見」と「個別の事情を踏まえた専門的な相談対応」でした（「特にない」を除く）。
このことから、業界に強くない社労士は依頼主が満足する対応ができない傾向があると言えるでしょう。
特定の業界に強い社労士は、その業界における企業のビジネスに精通しているため、個別の事情を踏まえた専門的な相談対応が可能であると言えます。
出典：株式会社LegalOn Technologies「顧問社労士活用の実態とニーズ～中小企業の経営層300人への調査レポート～」
同調査レポートによると、顧問社労士に満足している点で最も多かったのが「人柄・相談のしやすさ（141人）」で、「依頼から回答までのスピード（121人）」、「労務関連業務への知見」が続きます。
コミュニケーション能力が高い社労士は、相手の性格や方針に合わせた対応ができるため、相談しやすいと言えるでしょう。コミュニケーションに難があると、追加で必要な情報があっても請求をされなかったり、認識に相違が生じたりするリスクが高まります。
社労士を選ぶ際には、問題解決能力と説明力も重要なポイントです。
問題解決能力が高い社労士であれば、企業が直面する複雑な労務問題を正確に把握し、無駄なコストをかけずに最適な改善策へ導いてくれます。
たとえば、従業員の過労が疑われるケースでは、まず労働時間の実態を丁寧に確認し、問題の原因を分析します。
そのうえで、勤怠管理システムの導入や業務量の調整など、優先順位をつけて実行可能な改善策を提示してくれます。
また、問題を解決するためには、分かりやすい説明も必要です。
どれほど優れた提案でも、企業の担当者が理解できなければ実行に移すことはできません。説明力のある社労士であれば、新しい制度やクラウドシステムを導入する際も、その仕組みやメリットをかみ砕いて説明し、納得したうえで進めることができます。
このように、問題を整理し、適切な解決策を提示し、それを分かりやすく伝えられる社労士を選ぶことが大切です。
信頼性と評判も社労士選びにおいて無視できません。信頼できる社労士は、誠実で一貫性のある対応を行い、企業との長期的な信頼関係を築く傾向があります。
中小企業の経営者300人を対象にした調査レポートによると、顧問社労士の継続年数は11～20年が65人と最も多く、次いで21年以上が58人、6～10年が52人でした。
多くの場合、一度契約した社労士は長期間にわたり継続します。一方、2～3年が28人、1年以下が10人と少数ではあるものの短期で契約終了に至るケースもあるため、信頼性と評判は十分な確認が必要です。
信頼性を確認する方法としては、過去に助成金の不正受給をしているかどうかを調べることが効果的です。
助成金は、さまざまな要件を満たすと国や自治体から事業所に支給されるものであり、この助成金が支給されるように書類作成や申請をサポートすることも社労士の仕事の1つです。しかし、中には助成金の不正受給をすすめて報酬を得ている悪質な社労士もいます。
不正受給に携わった社労士は、厚生労働省や労働局から事業主名とともにホームページ上で公表されています。念のため、不正受給に携わった履歴がないかを確認したうえで、社労士契約をするようにしましょう。
社労士事務所の規模によって、それぞれ異なる特徴があります。
また、大きな事務所が小さな事務所に比べて必ずしも優れているわけではありません。
小さな事務所では、社労士本人が直接窓口となり対応するケースが多く見られます。社労士が自らの限られた業務量の中で顧客に対応するため、迅速な対応が期待できることが多く、顧客に合わせたオーダーメイドのサービスも提供されやすいでしょう。しかし、1人や少数の担当者に業務が集中するため、担当者が病気や急な事態で不在になると、対応が滞るリスクがあります。
一方、大きな事務所では、事務担当者が窓口になるケースが一般的です。組織化されているため、多くの顧客を担当する中でノウハウや事例が蓄積されており、高い専門性が期待できます。ただし、スタッフの人件費がかさむことから報酬が高くなる場合がある上に、やり取りが事務スタッフを通じて行われるため、オーダーメイドの対応が難しくなることがあります。
このように、事務所の規模によって異なる特徴を理解し、契約先の判断基準の1つとしましょう。
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オンライン重視型の社労士は、クラウドシステムやITツールを駆使した効率的な対応を行います。
特徴について、詳しく見ていきましょう。
オンライン重視型の社労士は、クラウドシステムやITツールを活用することで、業務の効率化を図っています。
たとえば、勤怠管理システムを用いれば従業員の労働時間をリアルタイムで把握でき、不正な労働時間の申告や過労の早期発見につながります。また、給与計算システムを使えば、複雑な計算も正確かつスピーディーに処理できます。
ただし、システムを使っていないからといって、サービスの質が低いわけではありません。
労務対応の正確性やトラブル対応のスピードは、最終的には社労士本人の知識や経験に大きく左右されます。
そのため、社労士を選ぶ際は「システムを使っているかどうか」だけにとらわれず、実務対応力やコミュニケーション力など、総合的な観点で判断することが重要です。
オンライン対応はあくまでサービス形態の違いであり、社労士としての力量とは別の観点であることを意識して選ぶとミスマッチを防げます。
クラウドシステムとITツールの普及により、オンライン重視型の社労士は地理的な制約を受けずに全国対応が可能です。遠隔地のお客様でも、オンライン会議やクラウドシステムを利用して、迅速に相談や手続きを行うことができます。
たとえば、東京に本社を持つ企業が地方の社労士に依頼する場合でも、オンライン会議によってリアルタイムで相談ができ、必要な書類も電子的にやり取りできます。距離による制約がなくなり、企業はより多くの社労士の中から自社に適した社労士を選べるようになります。
対面重視型の社労士は、クラウドシステムやITツールが広く普及する前のように、企業のもとへ訪問し、密接なコミュニケーションによって信頼関係を築くタイプの社労士です。
特徴について詳しく見ていきましょう。
対面重視型の社労士は、企業を定期的に訪問し、対面でのコミュニケーションを重視します。直接訪問することで、企業の現場を実際に見ながら問題点を把握し、より的確なアドバイスを行います。
対面重視型の社労士は、紙ベースの書類や対面での相談を通じて業務を行うことが多く、独自の安心感があります。たとえば、重要な契約書や労務管理に関する書類を紙で保管し、必要な時にすぐに取り出せるようにしている社労士もいます。
また、直接手渡しで書類の内容を確認し合うことで、誤解やミスを防ぐことが可能です。
対面重視型の社労士は、地元企業との強いつながりを持っている傾向があります。
たとえば、地元の商工会議所や業界団体との連携を通じて、企業の経営者同士のネットワークを広げるサポートを行うことができます。
社労士を選ぶ際は、次の手順で進めましょう。
【Step1】自社が求めるサポート内容の明確化 まず、社労士に何を依頼したいのかを明確にすることが重要です。 |
【Step2】自社課題の明確化 次に、前項で決めたサポート内容がなぜ必要なのか、その背景を具体的に分析しましょう。 |
【Step3】複数の社労士との面談 依頼内容と自社が考える課題が明確になったら、複数の社労士と面談を行います。 |
【Step4】契約 最適な社労士が見つかったら、契約内容や料金体系を確認し、契約を締結します。 |
社労士には、クラウドシステムを活用するオンライン重視型と、訪問を中心に対応する対面重視型があり、サポートの進め方や得意とする領域が異なります。どちらを選ぶ場合でも、経験・業界知識・コミュニケーション力・信頼性などの基本的なポイントを確認することが大切です。
まずは、自社が社労士に「何を依頼したいのか」「どんな課題を解決したいのか」を整理し、複数の社労士と面談して比較検討することで、ミスマッチを防ぎましょう。
自社に合った社労士と契約できれば、労務リスクの低減や働きやすい環境づくりが進み、経営の安定化にもつながります。
あかつき社会保険労務士法人では、オンラインで完結する労務サポートを行っております。
全国どこからでも、訪問なしでスピーディーに労務相談・手続き対応が可能です。
次のお悩みに１つでもチェックが入りましたら、お気軽にご相談ください。
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