COLUMN
「特定の法人の事業所が社会保険・労働保険に関する一部の手続を⾏う場合には、必ず電子申請で」。
現在この対象となっているのは「資本⾦、出資⾦⼜は銀⾏等保有株式取得機構に納付する拠出⾦の額が1億円を超える法人」など、一部の「特定法人」。2020年4月より施行です。
厚生労働省:2020年4⽉から特定の法人について電子申請が義務化されます。
緊急事態宣言が全国に拡大され、日本全国で急に「在宅ワーク」が推奨されるようになりました。その在宅ワークで一番のネックとなっていると言われているのが「ハンコ」や「紙の書類」。せっかく在宅ワークを進めたとしても、「押印をしに会社に行かなければならない」とか、「紙の書類を処理するために何人かが常に事務所にいなければならない」などの声が上がっています。その「ハンコ」や「紙の書類」がなくならないものの代表例が、行政関連の届出や申請書類でしょう。
2019年3月、かねてより計画が進められていた「『行政手続コスト』削減のための基本計画」に基づき、雇用保険・労働保険等の一部届出・申請・申告書の電子申請義務化を定めた厚生労働省令が公布され、特定法人を対象に2020年4月から施行となりました。税務などは早くから電子化され、e-Tax等がすっかり定着しているのと比べ、労働保険・社会保険の分野では電子化がとても遅れていると言われており、「これからようやく・・・」といった感があります。
現在は特定法人のみが対象の電子申請義務化ですが、新型コロナウイルス対策としても電子申請を可能にしておくことは注目度が高まっているのです。
いくつかのチェックポイントを確認しておきましょう。
◆いつから?対象はどこまで?
「2020年4⽉以降に開始される各特定の法⼈の事業年度から適用」とされていますので、2020年4月以降にやってくる決算月以降からスタート。資本金1億円以下の子会社・グループ会社は対象外、ということになります。
◆どの手続きが対象?
対象となる手続きも、現時点では絞られています。今回電子申請が義務化される手続きは次の通りです。
健康保険 厚⽣年⾦保険 |
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労働保険 | 継続事業(一括有期事業を含む。)を⾏う事業主が提出する以下の申告書 年度更新に関する申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出⾦申告書) 増加概算保険料申告書 |
雇用保険 |
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◆社労士に頼んでいれば大丈夫?
「社会保険労務士や社会保険労務士法人が、対象となる特定の法⼈に代わって⼿続を⾏う場合も含まれる」とされていますので、社労士へ手続きをアウトソーシングしている場合、その社労士が電子申請に対応していなければなりません。
これから社労士へのアウトソーシングをお考えの場合は、その社労士が「電子申請に対応しているかどうか」をぜひチェックしてください。
◆e-Govでやればいいんだよね?
はい、その通りです。
がしかし!e-Govは決して使い勝手のよいシステムではないというのが残念なところです。「手書きと変わらない、むしろ手書きのほうがまし」と思ってしまうくらい、煩雑でわかりにくいと評判(?)です。退職者の雇用保険被保険者資格喪失届(離職証明書)のお手続きをしたことがある方なら、イメージしやすいかもしれません。申請書類を手書きでご準備する場合、被保険者期間の賃金支払状況等の記入がこの上なく面倒だと思いますが、e-Govを使っても結局変わらず“ものすご~く面倒”なのです。
もし業務効率化も同時に実現しようとお考えの場合は、外部連携API対応の電子申請ソフトウェアをご用意したほうが良いでしょう。申請書類を効率よく使い、e-Govへそのまま電子申請を行うことができるものが便利です。代表的な電子申請ソフトには、下記があります。
さらに選ぶポイントは、対応している電子申請数(帳票数)、そしてAPI連携できるソフトの多さ、などでしょうか。お使いの勤怠システム、給与システムと連動させて、同じような情報を何度も入力しなくても申請書類が自動生成できるものだと、かなり業務効率化が図れます。最近では、給与計算ソフトから、一部の電子申請が可能なものも増えました。
会計・給与計算ソフトには、同シリーズの中に電子申請ソフトを持っていて連携可能なものもたくさんあります。
今後は対象となる手続き、対象となる企業の範囲、それぞれに拡張されていくことが予想されます。対策はお早めに。そして勤怠・給与等の労務管理データ連携を総合的に考えた対策をとるのが賢い選択です。
あかつきでは、企業様に合わせて最適な各種労務管理システムを選ぶコンサルティングから、システム設定やデータ登録まで、トータルなシステム導入をご支援いたします。ご不明な点はいつでもお問い合わせください。