COLUMN
これまで、私たち社会保険労務士法人は200件以上のクラウドシステムの導入を支援してきました。
その中でも、KING OF TIME(以下、「KOT」と言う。)は最も推奨できる製品の一つです。特に、日常的に従業員が利用する勤怠管理システムは、給与計算や労務管理全体に大きな影響を及ぼすため、正しい選択が重要です。本記事では、KOTとそのOEMサービスについて詳しく解説します。
オンプレ(オンプレミス)型の勤怠管理システムや給与計算システムから、クラウド型の勤怠管理システムや給与計算システムへの移行の相談を受けた際、まずはクラウド勤怠システムの選定から進めることをお勧めしています。
勤怠管理システム・給与計算システム・電子申請システムの影響度を比較した際、給与計算システムと電子申請システムは使用する人が管理部門の方に限定されることに比べ、勤怠管理システムは全ての従業員が使用することで影響範囲が広く、加えて、どんなに給与計算や電子申請システムでの手続きを丁寧に細かく行ったとしても、給与計算の基となった労働時間の集計が誤っていたとすれば、給与計算が誤っている可能性は高く、同じく電子申請した手続きの結果も変わる可能性があるためです。
勤怠管理システムを選ぶ際には、以下の点を考慮する必要があります。
自社の労働時間制やシフト管理への対応
多彩な打刻方法への対応力
操作性や使い勝手の良さ
トラブル発生時のサポート体制
自社の実態に合わせた正しい勤怠管理システムの設定は、労働時間の適切な集計に直結し、給与計算の正確性を担保します。特に、労務管理の基盤となる勤怠データが誤っていれば、企業全体の業務効率やコンプライアンスにも悪影響を与えます。
① クラウド勤怠管理市場シェア№1※
利用ユーザーは2025年1月1日時点で60,000社、利用者数380万人を超え、規模・業種・業態問わず様々な企業に選ばれています。
※富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2024年版」勤怠管理ソフトSaaS/PaaS市場 利用ID数 2023年度実績
② 高いカスタマイズ性
2003年からの長期間のサービス提供実績と多くの導入実績から、フレックスタイム制や1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制などの様々な変形労働時間制に対応しており、加えてカスタマイズ性の高い集計方法を選択できるのが特徴です。クラウド勤怠管理システムによっては、一部の変形労働時間制が選択できない、選択できたとしても正しい集計ができないなど、労働法に沿った運用をしたい社労士としてはもどかしい場面も多くありますが、KOTの場合には他のシステムでは難しい労働基準法準拠の勤怠管理が実現します。
③ 多彩な打刻方法
打刻機のラインナップが多彩で、無料で使用できる打刻に加え、不正打刻を防ぐための選べる打刻機が数多く用意されています。
④ ユーザーインターフェース
様々なカスタマイズが出来る反面、UIが少しわかりづらく、デザイン性も高いとは言えません。他のクラウド勤怠システムと比較検討している方には、少し古臭い印象と操作が複雑な印象を与えてしまいます。
操作が複雑な印象を与えるのはKOTの多彩なカスタマイズ性の裏返しになるのですが、実はKOTには隠し機能のようなものが多数あり、通常は機能として表示されて無いものもサポートに依頼することにより機能が充実します。長年使用している当社でも、使い込むほどにKOTの奥深さに魅了されます。
OEM(Original Equipment Manufacturer)とは、日本語だと他社ブランドの製品を製造することを指しますが、この記事ではKING OF TIMEの勤怠機能を他社ブランドとして提供されているサービスのことを解説します。
KOTをベースにした他社ブランドのサービスは多く、ここ数年内で新たに登場したもの、撤退したサービスもあります。以下は、主要なOEMサービスの例です。
Touch On Time|株式会社デジジャパン
freee人事労務勤怠Plus|freee株式会社
オフィスステーション勤怠|株式会社エフアンドエム
セコムあんしん勤怠管理サービスKING OF TIME Edition|セコムトラストシステムズ株式会社
勤革時|日本電気株式会社
おまかせ勤怠管理|伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
dynaCloud 勤怠|東芝情報システム株式会社
勤給解決|株式会社シフト
上記の他、株式会社NTTドコモや東日本電信電話株式会社でも、KOT製品の提供が確認できます。
KOTとOEMサービスには、基本的な機能は同じであり、機能の差を気にする必要はないでしょう。違いがあるのは次の点です。
① 打刻機の充実度
KOTは打刻機のラインナップが充実しています。打刻方法を選びたい場合には、KOTが最適でしょう。ただし、OEMサービスの中には独自の打刻機が選択できる場合もあります。KOTには無い打刻機を選びたい場合にはOEMサービスが選択肢になります。
②サポート体制の違い
KOTの場合には、オンラインヘルプに加え、チャットサポート・メールサポートと電話サポートがあります。ただし、電話サポートは事前予約制となっており、いつでも電話サポートが受けられるわけではありません。
例えば、Touch On Timeの場合、オンラインヘルプに加え、メールサポートと電話サポートがあります。Touch On Timeの場合には、平日営業日の9:00~18:00の間であれば予約せずに電話サポートが受けられます。チャットやメールではなく、電話対応を希望の会社であれば、Touch On Timeが選択肢として有力になります。
③ 他システムとの統合的な運用
既にfreee人事労務やオフィスステーション労務などの他のクラウドシステムを使用している場合には、新たなクラウドシステムの請求元を増やさず請求を纏めるのも、有力な選択肢の一つになるかもしれません。ただし、従業員のログインIDやパスワードは既存のシステムとは別のものが発行され、システムの名称は統一されていても使い勝手は別のシステムになる点は注意が必要です。システム間の連携は、KOTが他社システムとAPI連携する方法と同じです。
これだけ多くのOEMサービスが提供されていることが、KOTの実力を証明していると言えるかもしれません。
今後も大きく変わる労働環境の中で、環境変化に対応できるシステムの導入が必要になります。単に紙からデジタルへの置き換えではなく、業務の効率化を図るにはクラウド勤怠システムの選択がより重要さを増します。
KOTとそのOEMサービスは、幅広い企業に対応できる高機能な勤怠管理ソリューションを提供しています。選択肢が多い分、自社にとって最適なサービスを見極めるには労務管理の優先事項を明確にすることが重要です。
KOTは、カスタマイズ性の高い機能を備えている一方で、全ての機能を一から把握して労働法にあった正しい設定を行うのは時間と労力が必要です。労働法に準拠した設定や運用には専門知識が求められるため、導入に際しては社会保険労務士の支援を検討することをお勧めします。