COLUMN
~自分らしい経営スタイルがあっていい~
「良い経営者になりたい」
そんな言葉を、経営者仲間との勉強会やSNS、セミナーなどで耳にすることがあります。
でも、ふと立ち止まって考えるのです。
“良い経営者”って、一体なんでしょうか?
社員想いな経営者?
数字に強く、利益を出す経営者?
カリスマ性があって、人を惹きつける経営者?
決断力があり、背中で語れる経営者?
私たちは、いつの間にか「良い経営者」という、誰も見たことのない経営者になろうとしていないでしょうか。
気づかないうちに、「こうあるべき」「こうでなければ」という“呪縛”に縛られている。
その呪縛があなたの魅力を無くしてしまっている。
けれど本来、経営に唯一絶対の正解はないはずです。
むしろ、それぞれの「らしさ」こそが、経営の原点であり、企業の個性になる。
私はそう信じています。
採用の場面では、「この人にはこんな強みがある」「この人にはこんな魅力がある」と、一人ひとりの個性を尊重する視点を持っているのに、こと経営者自身になると、なぜか「平均値」や「理想像」を追い求めてしまう。
でも、会社の未来を創るのは、その経営者の“軸”であり“らしさ”です。
100人いれば100通りの経営スタイルがある。それでいい。むしろ、それが自然です。
“らしさ”は時に、「自分勝手」にも見えるかもしれません。
ですが、「自分らしさ」を大切にしながらも、人と向き合い、誠実に経営していく姿勢があれば、それは“わがまま”ではなく“スタイル”と呼ばれるようになる。
もちろん、パワハラ的な言動や、極端に利己的な経営は論外です。
でも、経営者の考え方や価値観が組織に反映されることそのものは、むしろ自然なことではないでしょうか。
私自身であれば、「シンプルが好き」「無駄が嫌い」「業務改善が好き」といった特性があります。
その“らしさ”が、社内の風土や仕組みに落とし込まれていきました。
サービス開発でも、仕組みをつくり属人化を最小限に抑え、誰にでも理解しやすい構成を目指す。
その結果、「スマート労務」というサービスが生まれました。
結果的に、社員はやるべきことが明確になり、業務はスムーズになり、働きやすい環境が整っていったのです。
大企業では、あまりに強烈な個性は敬遠されるかもしれません。
しかし、中小企業、特にオーナー企業においては、経営者の価値観がダイレクトに組織に影響を与えるからこそ、「らしさ」が強みになります。
経営者のスタイルが会社の「色」としてにじみ出ると、求人や採用にも自然と反映されます。
「シンプルを大切にしている会社です」
「スピードと改善を追求する文化があります」
「対話を重視した組織運営をしています」
そうしたメッセージは、表面的なスローガンではなく、経営者の在り方からにじみ出るもの。
その“色”に共感した人が集まり、入社後もミスマッチが起きにくくなります。
会社の価値観と個人の価値観が近ければ、自然と定着率も高まっていく。
経営者の考えが価値観となり社風となり、人をひきつけサービスに落としこまれる。そしてそれが、お客様への価値提供につながる。
「こういう会社で働きたかった」
そう言ってくれる社員が一人でも増えたら、それは経営者として大きな成果だと思うのです。
経営と労務は、本来切り離されたものではありません。
経営者の考え方が、組織運営に反映され、社員の働き方に影響を与え、結果としてサービスの品質にもつながっていく。
自分らしい価値観を軸にした経営は、決して自己満足ではなく、組織とサービスに「一貫性」をもたらします。
その一貫性こそが、信頼を生み、顧客に選ばれる理由になる。
つまり、「らしさ」は経営の効率を高め、組織の持続可能性を高め、そして市場における独自性を育むための“資産”でもあるのです。
誰かがつくった“正解”に近づく必要はありません。
あなたがあなたらしくあること。
その姿勢が、社員にとっての安心になり、組織にとっての軸となり、サービスにとっての魅力になります。
経営者である私たちは、もっと自由でいい。
“良い経営者”という幻想を手放して、自分らしい経営を楽しんでいきましょう。
困った時こそ、社労士の「知恵と経験」が役に立つ。
労務は会社から社員へのメッセージです。
私たち社会保険労務士の仕事は、労働社会保険の手続き代行や就業規則の作成ではなく、“不安なく、安心して働ける職場”をつくるための仕組みを提案することです。
「何がうまく行かないのかわからない」「何となく社内に活気がない」と感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの会社にとって、最適な選択を一緒になって考えます。